
兵庫県下で撮影する仕事が結構あった。
以前は県の広報誌の撮影を担当したこともある。
今でこそ兵庫県下の事柄に興味があるけど、20代の都会生活者には兵庫県下の郡部と言
われる処は「いなたい」ものだった。だから当然のように興味もなかった。
雑誌や広報誌などで日本中を旅するようになって、田畑や原生林や古民家や山道や農道や
オオサンショウウオやカブトガニや西表山猫や…なんてのを取材したり写真を撮ったりし
ているうちに、段々と日本はいいなぁ〜、兵庫県はスゲェなぁ〜と思うようになり、そん
な処に出掛けていくのが段々楽しみになってきていた。
兵庫県の佐用郡三日月町赤花に農業体験と蕎麦の取材に出掛けた事がある。
食べ物としての蕎麦にそんなに興味がなくて、そばならいっそ中華そばの方が馴染みがあ
あるし好物でもある。それに比べて蕎麦は、余程のことがないと食べることはなかった。
それがたった一度の蕎麦打ち体験でゴロッと変わってしまう。嫌、今でも中華そばは好物
に違いないが、蕎麦に対する認識が変わってしまった。具体的な食べ物の話だけでなく、
自然や空間や、そのいなたい存在が心地よいものに変わりつつあった。
田舎に住むことは多分無理だと思うが、住めるだけの素養をぜひ持ちたいと思う。
津井山漁港のいかの天日干しも、神戸北野町の書き割りの洋館よりはるかにいい。
