column



小鳴門のワカメ

取材中に出会った人々や事柄、疑問に思ったこと。そして食べ物。興味本位に綴る
ページとしてスタートしたページです。                   
今回は、美味しいワカメのお話をひとつ。              
 

 なぜワカメの話になったかというと最近ワカメが美味しくないから。気のせいと
も思っていたけどやはり美味くない。 で、気がついた。ワカメの味噌汁にしても
ワカメサラダにしても、なんか味が違う。ペラペラだったり、ぬめりだけの柔らか
さだったり、どこか違う。最近自分で料理をする時に手抜きが目立ってきた事は否
めないが、塩ワカメはまだしもお手軽な食品として使用頻度が高くなってきたカッ
トワカメが美味しくない。で、気がつくと韓国産ワカメだったりする。別に韓国が
悪い訳ではない。やはり韓国のものでなくては…といえる食品もたくさんある。  
例えばキムチなぞ幾ら頑張っても韓国の味にはかなわない。日本人の味覚に合わせ
て作ってしまえばそれは本来のキムチではなく、日本人の好みではあれ、本物では
なくなる。そこまでして本物を求めたいなどと考えているのではなくて、地の利を
えて育て上げられた海の幸・山の幸は代用では心許ないということだ。そうやって
考えると素材の白菜や唐辛子は単純に比べられる事など出来ないほど違うのだろう。
 利尻へ取材に出掛けたことがある。                    
いつだったか思い出せないほど昔のこと…車で海沿いを走っていると、道路を挟んで
浜に昆布がビッシリと干してあった。もうコンブ漁の漁期は終わっていて、商品で
はなく漁師が自分達で食べるためのコンブを干していることが分かったのは、漁船
の脇で漁具の手入れをしていたおじいさんと小さな女の子に写真を撮らせてと頼ん
だ時のこと。30センチ程のコンブをくれながらおじいさんがコンブの切れっ端を
口に入れた。私も真似して口に…美味しい虫養いを手に入れてしまった。     
また、ある時、鳴門へ渡った。釣り雑誌の取材で出掛けたのだがここで絶品のワカ
メに出逢った。潮が飛ぶ「小鳴門のワカメ」だ。いままで食べたすべてのワカメを
否定できるほど凄いワカメだった。いまでも、同行した編集の担当と会うとこのワ
カメに話がおよぶ。現地取材の手配をしていただいた渡船屋の女将が「折角だから
持って帰って」と無造作にワカメを詰め込んだ袋10個。『1Kg入り』と書かれた袋
 に2Kgは入っていた。「あまりワカメは食べないから…」と担当さんと押し付け合って、
シブシブ分けた5袋だったが、その夜                     
「食べた?」と、担当さんから電話があった。                 
「食べた食べた。凄いねぇ!!」                       
と興奮気味に電話で話した。                       
5袋はあっという間になくなってしまった。鳴門のワカメはブランドとして知名度
が高いが「小鳴門のワカメ」は絶品。機会があったら是非食していただきたい。  
                                     
代用は食文化を歪めてしまうというお話でした。               
ついでに「小鳴門のメバルの塩焼き」。これも絶品。              

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