

取材中に出会った人々や事柄、疑問に思ったこと。そして食べ物。興味本位に綴ろうとス
タートしたページです。
今回は少しいつもと違う内容ですが、我が家のミーシャのこと。
取材中に出会った人々や事柄、疑問に思ったこと。そして食べ物。興味本位に綴るページと
してスタートしたページ。今回は少しいつもと違う内容ですが、我が家のミーシャのこと。
2007年8月11日午前10時。我が家の猫さん、ミーシャが逝きました。
7月初め頃、異常に食べ物を食べ続けていたミーシャが激しく嘔吐をし始め、呼吸が乱れ、
医者に連れて行ったものの原因不明。3日後に何とか正常に戻ったものの、鬱ぎがちで、今
度は食事もしなくなり、ついには伏せったままになってしまった。ミーシャは2004年に乳
ガンがリンパに転移、おっぱいからおへそまで全部取ってしまいそのときに医者から「もっ
ても2年」と宣言されていた。3年間頑張ってくれたから諦めはつくができればもっと長生
きして欲しかった。
食事も何もとらない日が続き、ただひとつうれしそうに食べてくれた大好きなマグロの刺
身も、日々、残す量が増え、8月にはいると、マグロの臭いを嗅いで立ち上がろうとするけ
ど足元がおぼつかず、やっと口に入れても違和感があるのか飲み込むことが出来なくなり、
水だけ何とか飲めるものの、体重は1.8kgまで落ち込み、体を支えるとあばら骨が指にあた
るほどになってしまった。
食べ物も、水さえも取ることが出来なくなったミーシャを連れて医者に行くと、点滴をし
ながら医者が「延命」の為に出来ることを話してくれた。多分、全身にガンがひろがってい
るんだろう。小さくてひ弱な呼吸をしながら、うつろな目で私のことを見ていた。
抗ガン剤も使わず、ミーシャの体力と天命に掛けて、自然な形で過ごしてきた日々を、ここ
で不自然な形で継続させても、弱り切ったミーシャには酷なことだと思い、管を体に入れて
栄養素をとらせることも選択しなかった。
動かないミーシャに「ミーシャ。帰ろうか」というと、何とか立ち上がり自力でカゴに戻ろ
うとする。そういえばこの猫医者でガンとリンパを摘出した時、入院したミーシャが食事も
とらず、傷口の治療もさせず、医者と看護婦に「ファーッ!!フーッ!」と威嚇し続け、困り果
てた医者が、私を呼びつけてミーシャを強制退院させた時も私の顔を見て「フーッ!」といっ
ていたミーシャに「ミーシャ、帰ろう」というと、子猫のような声を出して血の滲んだ傷口
も痛々しいのに立ち上がろうとしたことがあった。慌ててミーシャに手を添えるとミーシャ
の骨盤が直に手に伝わってきた。体重はもう1.5kgしかなかった。
その夜、ミーシャが始めてお漏らしをした。
もう、トイレに行く力もないのだろう。急いでオムツを買いに走る。いつかそれが必要にな
ると思っていたが、ほんの半月前まで元気に走り回っていたのに、恐ろしい勢いで現実が目
の前で繰りひろげられた。オムツを買って帰ると今度は大便をしていた。
軽い体を抱え、体を拭いてやり、オムツをさせた。
ミーシャはずっと声にならない「ニャーッ」を繰り返していた。
8月11日。ミーシャを自分の横に寝かせるようになって3日目。脱水症状でミーシャの目が
乾き始めていた。水を付けたタオルで目を拭いてやる。そのままミーシャの顔を手のひらに
のせて手枕をしてやるとミーシャの喉が「クルクル」と鳴った。
それまで言おうか言わないでおこうかと悩んでいた言葉を始めて口にした。
「ミーシャ、頑張らなくていいからね。辛かったら頑張らなくていいからね」
ミーシャはうつろな眼のままで「ニャー」とかすれた声で答えてくれた。
そのまま、ミーシャの体を撫で、ウトウトしながら眠れない夜を過ごした。
午前9時頃にオムツを替える。ミーシャの体温が落ちてきていた。今一度顔を拭いてあげ
てそっとタオルを掛けてあげた。もうミーシャの視線は空を見つめていた。
気になっていたが、すこしミーシャの側を離れ、15分ほどたって戻ってくると、ミーシャは
動かなくなっていた。脈はなかった。眼を閉じさせてあげた。死に際に側にいてあげられな
かったことを悔やんだが、側にいることでミーシャが頑張っていたのかも知れないと思うと、
ミーシャも私も現実を受け止めるために少し離れる事が必要だったのかも知れない。
「ミーシャ、ありがとう」
ミーシャの亡骸をタオルでくるみ、好きだった玩具を入れた箱にそっといれて、ペットの葬
儀屋に電話を入れた。我が家の男猫のミスティーに「ミーシャにお別れをしたら?」といっ
たがミスティーは中二階から一度も下りてこなかった。
葬儀屋がミーシャを連れて帰った日。ミスティーは一日中ミーシャを探していた。
その日からミスティーは私の側で過ごすことが多くなった。
「ミーシャがいないから寂しいよ」と言っているのか。
「ミーシャがいないから寂しいかい?」と尋ねているのか。
ほとんど鳴かないミスティーがミーシャのようにお喋り猫になっていた。
今日は9月8日。もうすぐミーシャの月命日。
ミスティーが私の寝間で「り」の字になって寝はじめて、もうすぐ1ヶ月になる。