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『逃げた象事件』ファイル

 取材中に出会った人々や事柄、疑問に思ったこと。そして食べ物。興味本位に綴

ろうとスタートしたページです。                      

今回は謎の時計にまつわる『逃げた象事件』の話を…。             

 その年、カメラマンとして、ライターとしてもいい年だった。       

アシ(アシスタントの事)を使わずに出来る仕事量として自分自身で目安にしていた

ボーダーラインを初めて超えた年でもあった。                

そんな記念の年に思い出に残るモノを買おうと考えていたところ、ある情報誌でロ

レックス特集の為の撮影を頼まれ、大阪の某時計店で現物の撮影をした時の、その

店の目玉がロレックスの『デイトナ』だった。                 

まだ爆発的なブームとまではいってなかったので、品薄のながら、白、黒干支のス

テン。コンビ。金無垢、WG無垢と、誰が買うンやと思える珍品がずらりと並んで

いた。前々からほしいと思っていた時計だから、ひとつ記念としてに買ってしまお

うと、店長さんに白干支のデイトナが欲しいと申し出たところ、お得意さんのオー

ダーということもあって簡単に断られてしまった。黒干支なら本数があるとのこと

黒干支を薦められたけど、私もへそ曲がりなもので、そうなったら白干支でないと

おさまらず「じゃあ、いらないや」と言ってしまったのだった。        

以前、ロレックスでは、エキスプローラで歯ぎしりものの悔しさを味わっていたに

もかかわらず、本当は白でも黒でもよく、出来れば両方欲しいくらいなものだった

が、後ろ髪ひかれる思いで店を後にした。                  

 あるお店で『エキスプローラ 氈xを見つけた。               

 値段はなんと40%OFFだった。手にとって、レジに向かいながら考えた。そう、手巻

 きだ。どうする?カレンダーが面倒くさい…。                 

そう思って売り場へ戻り、エキスプローラから手を離し、少し考え、思い直して戻っ

てみると、そこにはすでにエキスプローラはなかった。            

その夜は、悔しくて眠れなかった。                     

そんな事が過去にありながら、つっけんどんに断ってしまった。        

後日、先客の取り置きはキャンセルされ、結局はどれも売れずに残ってしまったよ

うだった。店長から電話があって「白干支。どう?」と言われたけど、ヘソは曲がった

ままで「イヤ、結構です」と断ってしまった。                

それ以降「デイトナ」はドンドン人気が出て、市場から消えてしまった。私がそのお

 店の店長から「買って」と言われた時には、39万8000円だったがもうあとの祭り…。

値段以前に現品がなかった。香港、シンガポール、グアム、ハワイと免税店巡りを

してみても完全に幻になってしまった。                   

その後、再び市場に姿を現した頃には、100万を超える超プレミアが付いていた。

もうすっかり「デイトナ」の事を忘れかけていた頃、突然、それが現れた。    

踊る子象(?)でお馴染みのボブ・リーおじさんの「ハンティング・ワールド ムーン・

フェイズ」が香港のデューティーフリー・ショッパーズのショーケースの中で   

「キラッ!!」と輝いてた。                         

時は折しもクリスマスシーズン。                      

パリ時代。ヨーロッパにはDFSはなかったが、DFS東京の仕事をさせていただいた

お付き合いで、特別に30%OFFのディスカウント・カードを貰っていたので、お安い

値段で手に入ることになった。あまりハンティング・ワールドに興味はなかったが

ムーン・フェイズはひとつは欲しいアイテムだったので即決で購入した。    

しかし、私がこうゆうを物を即決で買うときには、概して何かが起こる。    

正に、案に違わず何かが妙な事に気がついてしまった。             

その時計、何か変だ。以前から違和感を感じていた。何処か間が抜けているという

か…手にはめる度に感じる違和感はずっと尾を引いていた。          

結局、何が変なのかわからず月日は流れていったが、どうもイライラ感がつのり、

ついに我慢できず夜中に起き出して古い「ブルータス」を引っ張り出して、ハンティ

ングの時計の紹介記事を探し始めた。                    

やっと記事を見つけた。じっくりと見比べてみる……。特に何の違いもない。それで

も違和感がある。何だろう。この不吉な感覚は…。              

その記事には、ボブ・リーおじさんがなぜ小僧をハンティング・ワールドのマークに

したのかが書かれていた。そういえばそのマークにある象は、子象だから牙がない。

なるほど。ンッ?、何コレ?ウギャ〜ッ!!、ない、マークがない!。いない!!子象が!。月齢

計のところに描かれているはずの、こッ、子象がいないのだ〜ッ!!!。      

ハンティングのあの有名な踊っているような子象マークがないのだ。ンッ?。これ

はパッチもんか?。バッタもんか?。ラレックスとあまり変らんだろうが。    

それで干支が間抜けて見えていたのだった。                 

で、結局は、DFS頼んで子象さんのいる時計と替えて貰った。         

端っから子象を見逃していた私に、ハンティングを攻めることはできないし、とや

かく言う資格はないような気がするけど、後日、時計の中味(機械)がホイヤー級の

クォーツとわかってガッカリしてしまった。そんれことならオメガのフォーティシ

リーズでよかった。                             

やはり、ロレックスがよかった。そんな後悔の日々がずっと続いている。    

ステンで100万もするんだって。                       

今は昔のお話…だが…。                           

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