

a cupful water
今回はこの涼しそうな"a cupful water"のようなお話を書きたいと思う。
水の思い出はなんといっても神戸ウォーター。
10代後半、嫌々ながら親父の手伝いをしていた頃のこと。私の親父は腕のいい時計修
理のエキスパートだった。もし今、往年の親父のような時計の修理技術を私が持っ
ていたとしたら、多分カメラマンはやってなかっただろう。勿論、技術だけでなく、
それなりに営業力があってのことだけど、たとえ部品が無くても、長年の経験と技
術を駆使して、手作業で部品を造ってしまう親父の技術力を目の当たりにしてきて、
あと40年。時を遅れてやって来ていたら親父は蔵を建てていただろうに…。なんて。
オーバーでなく考えられる、今日この頃のアナログ時計ブームだ。
水から話がそれてしまったけど…まだベトナムで、ドンバチやっていた時代のこと。
香港やフィリピン、そして、沖縄経由で神戸に航海してくるほとんどの船舶は神戸港
に入港すると船内の貯水タンクの水をわざわざ捨てて神戸の水を積み込んだという。
「神戸の水は美味しくて。しかも腐らない」。
その意味合いを知る術はなく、毎日飲んでいる神戸の水が美味いかどうかなんて
ことは、物心ついてからずっと神戸の私に分かる訳もなく「なんのこっちゃ?」と、心
の片隅に追いやって10年。始めて外国に出て、その意味が理解できた。
「マズーッ!」。
水が徹底的にマズい。特にパリの水は最悪だった。
たとえばエビアンやビッテルやボルビック等のラベルに刷ってある風景のような所
まで出掛けたら、たぶん灘の宮水や、灘の生一本のようなすごい水が飲めるんだろ
うが、パリの水はお世辞にも美味いとは言えない。「パリのおいしいお水」等と口が
裂けても言えんような事を謳った商標は金輪際ないと思う。
パリの水は、心がザラついてしまう荒涼とした水だ。
それでも、仕方なく飲んでいたけど、飲むたびに悪態が唇からこぼれた。
「マズぅ…」。
せめてもと火を入れて湯冷ましを飲む。
東南アジアやアフリカの水のように (アフリカやアジアにお住みの方はごめんなさ
い。言葉のアヤです) 殺人的な何かが潜んでいる可能性はないから、現実に生水も
飲んでいたが、3ヶ月もしないうちに湯沸かしに使っていた日本から持参した初代
ケットルには、暑さ2ミリの石灰層が出来上がってしまった。これを飲んでいるん
だと考えると、ミネラルウォーターを買わなければ!!と決める。しかし1泊26フラ
ン(当時1フランは60円位)朝食付のホテルに泊まりながらボトル3フランもするミ
ネラルウォーターは買う気がしなかった。
コントワールで飲むエキスプレスなら2杯も飲める。のに…。
で、鉄管ビール(懐かしい言葉だ)を湧かして冷まして飲んでいた。
何年か経って、フランス人のおばあちゃんに足首を触らせてもらった時。そこには
ジャリジャリと溜まった石灰にはさすがにゾッとした。
今、神戸の水はまずい。徹底的に本気でまずい。こんなもんが飲めるかどうかは
別として、生で飲む気はおきない。
トリハロメタンに塩素。その他モロモロの意味不明な物質。
21世紀の今は、大阪や神戸の水はボトルに詰められ、美味しいという評価をうけて
いるが、神戸市の水道水を例にとらせてもらえれば淀川(琵琶湖)の水だ。美味しい
代名詞となった千刈の水は飲めない。ならばせめて、我が家の猫君にだけはとミネ
ラルウォーターを買っていたが、不必要なミネラルが体内に入るのも事実で怖くて
やめた。
毎日10リットルの水を湧かし、備長炭を入れて臭いをとり、毎日使い切るようにし
ている。もし、猫君がいなかったらミネラルウォーターを買っているだろう。
と思いつつ、猫の為を喜んでこなしている猫じじいと化した自分に気付いていない
訳ではなく、それが日々の楽しみとなっている事を気取られぬように…?…誰に?。
勿論、猫…に。なんとなく…ね。
とにかくさりげなく叫んでいる。今日も元気ッ!!。お水がうまい!!。てか?。